先日、絵本作家ヨシタケシンスケさんの個展「ヨシタケシンスケ展かもしれない」を観に行ってきました。
最初は「可愛らしい絵を描く絵本作家さん」という認識しかなかったのですが、又吉直樹さんとの共著『その本は』を読んでから、絵本以外にも著書があるんだなぁと興味を持ち始めました。
絵本よりその他の本が気になって、『みらいめがね』『日々憶測』などを読んでから、可愛らしい絵だけではなく、考え方とその表し方にハマっています。
「ヨシタケシンスケ展かもしれない」っていう個展の名前に「かもしれないとは…?」と思いながら出かけてきました。
ヨシタケシンスケ展かもしれない
会場では、いろんな絵本のアイディアを構想してきた過程のメモや原画などがたくさんありました。
また、いつも持ち歩いているという「私にとって大事なことメモ」が壁一面に貼られており、一つ一つは小さなメモだったのですが、量に圧倒されました。
ヨシタケシンスケさんにとっての大事なことは「思いついた時に描いておかないとすぐ忘れてしまうくらいどうでもいいこと」だそうです。
目線が届かない高さまで貼ってあったので全ては見られなかったのですが、布団の中で「しょうがないよね〜♪」と歌っている楽しい絵もあれば、「人生は先着順」「元気を出そうと下を向く」など描いた背景を考えたくなるような絵もありました。
気になっていた「かもしれない」要素もいろんなところにありました。
総じて楽しかったです(^^)
そして、絵本が作られる過程や込められている思いに触れたからか、絵本もたくさん読みたくなりました。ただでさえ家の中が小説だらけで本棚難民なのに…。
展示を見終えてお土産屋さんに立ち寄ると、グッズの他にずらりと並ぶ本たち。
絵本もエッセイも、色々あって悩みましたが、想定外の出費だと感じる程度に買いました(笑)
その中でも気に入ったのが『思わず考えちゃう』です。
スケッチ解説エッセイ
という聞いたことのないジャンルで、帯には「あわよくば、生きるヒントに。」という言葉。
講演会などをする際に予定より早く話が終わると、展示にあった日々持ち歩いている「私にとって大事なことメモ」を見せてそれに対してコメントをしているそうで、その時の話をひたすら詰め込んだ本でした。
個人的に、この「話が生まれているタイミング」が好きです。
講演会はもちろん、日々人から人へ「今伝えるべきこと」の話はたくさんあると思うのですが、そのときに話が逸れて出てくる別の話題のほうが記憶に残っていたりします(本題も覚えています多分…)。
だからこそ「あわよくば、生きるヒントに。」なんだろうなと思いながら読みました。
「ききうでのツメは切りにくい」という気持ちから「近すぎるからできないことってあるよね」という話に派生したり、「明日やるよ。すごくやるよ。」と言って自分を甘やかしたり、「できないことをできないままにするのが仕事」と言ってみたり…。
本当に多岐にわたる、生きるヒントが散りばめられていました。
些細なきっかけから深いところに入り込んでいく、ヨシタケシンスケさんの頭の中を覗かせてもらっているような本です。
中でも「できないことをできないままにするのが仕事」のページは、私の気持ちをすごく軽くしてくれました。
“できないことをできないままにというのは、要は、自分にないものを探すのではなくて、持っているものを磨くみたいなことの、一つの言い方です。”
ないものよりあるものに目を向けたほうがきっと楽しいです。
「できないことをできるようにしなくちゃ」と思うより、「私は何ができるかな」って考えた方が楽しいし、自分のことを好きになれるなぁと思いました。
自分に対してだけじゃなくて、子どもたちにも伝えたいことの一つです。
こんな感じの「生きるヒント」がたくさん散りばめられた本です。
見かけたらぜひ、ちらっとでも中を覗いてみてほしいなと思います(^^)
(もちろんほかの本も!絵本も!)
池之上
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