『わたしは食べるのが下手』
- 真澄 鯉沼
- 6 時間前
- 読了時間: 4分
先日、私に1冊の本を貸してくれた子がいました。
『わたしは食べるのが下手』という、学校給食について書かれた本でした。

貸してもらって一番最初に驚いたのは、その直前の週末に自分で手に取って買おうか悩んでいた本だったことです。
他にも大量の本をすでに選んでいたので買うのは辞めてしまったのですが…
そんなタイミングで貸してもらったことが、縁だなぁと思いました。
貸してくれた理由は「先生がこれ読んで、どう考えるか教えてほしい」とのことで、一緒にどんな話ができるかワクワクしながら次の週末にはすぐ読ませてもらいました。
給食改革
この本は、教室で給食を食べることに苦痛を感じて悩む中学生が給食改革を進めていくお話です。
会食恐怖症、摂食障害をかかえた2人の女の子の行動から始まり、イスラム教徒だからみんなと同じものは食べないという女の子が加わったり、逆に給食がなくなったら困る!という男の子が加わったりしていきます。
なぜ食べない・食べたくない・食べられないのか。
なぜ給食がなくなったら困るのか。
そもそもなぜ給食はあるのか。
給食を通して「食」にまつわる話の深さと重要性を考えさせられるお話でした。
子どもたちがしてくれる「食」の話
くもとそらに来ている子どもたちも、給食に対して様々な話をしてくれます。
「美味しかった!」「私の口には合わなかった(誰も傷つけない言葉選びが素敵)」「揚げパンが好き!」「給食たべてないからお腹空いた」…などなど。
前向きな反応に対しては、私も一緒に盛り上がります。
お話ししているうちにみんなでお腹が空いてしまい笑っています(笑)
苦手だと教えてくれたときには、その理由を聞きます。
味が、食感が、見た目が、匂いが、環境が、いろんな理由があってその都度考えさせられます。
特に環境については、くもとそらでご飯を食べるときに苦とならないように、工夫していきたいなぁと思っています。
「どんな給食だったら食べたい?」という話で盛り上がる日もありました。
子どもたちの大好きなメニューが詰まった理想の給食のお話で、最後はまたみんなでおなかが空いてしまい笑いました(笑)
給食だけでなく、夏休みにはお弁当の話もたくさんしました。
・「買い弁より作ってもらったお弁当の方が好きだよね~!」と盛り上がる子どもたちにほっこりする。
・それでも買いに行くとなると全力で悩んで楽しそうな子どもたちに「美味しそうなもの買ってきたね!」と声をかける。
・美味しそうに食べている子に声をかけると「これはママが作ってくれた!」とにっこり笑顔。「今日はパパの得意料理!」とニヤリ。
・お弁当を開ける前から「今日可愛いお弁当だから先生も見て!」と呼んでくれる。
・「今日は僕がお弁当作った!」と自信満々に見せてくれる。
どの瞬間も尊くて、お昼の時間が楽しみでした(^^)
中には「今日は食欲がなくて…」と申し訳なさそうに残す子もいて、体調を心配しつつ「無理しなくて大丈夫だよ」と伝えるとホッとしている日もありました。
それも自分のお腹と相談する大切な時間だなぁと思っています。
「食」だけでこれだけ思い出すことがあるので、生きることと深く直結しているんだなぁと改めて感じます。
本を読んだ後のお話
この本を貸してくれた子も、学校の給食はあまり食べられず午後はお腹を空かせています。
読んだことを伝えると「給食改革、どの作戦がいいかな。私はね…」とお話ししてくれました。
話している中で、前に周囲に見えないようにそっと落としたこともあった、と静かに教えてくれて、その一人静かに戦っている姿を思い浮かべると心が痛みます。
昔ほど先生から「残さず食べなさい」と言われなくなった学校給食ですが、残してもいいかどうかだけが問題ではなく、難しいなぁと感じました。
今はありがたいことに、日々たくさんの子どもたちと話す機会があるので、家での食事や学校での給食、くもとそらでの食事や外食など、いろんな「食」についてみんなが感じていることをたくさん聞いていきたいなと思います。
それがいつか、だれも苦しくない給食改革に繋がりますように!
池之上
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